企業・研究機関向け情報

お茶大のハブ 科学・技術が進んで複雑化しているなかで、新たなイノベーションを創り出すため、高度な専門知識に加え、特定の分野に閉じない幅広い視野と、コミュニケーションを通して課題解決できる力を持った人材が求められています。
 イノベーションを牽引する人材として、海外では多くの博士課程修了者が、アカデミックだけでなく、ビジネスにおけるリーダーとしても活躍していますが、日本では、まだ少ない状態です。特定な専門分野への強い研究志向が、ビジネスの現場になかなか適応しにくいという声も聞かれます。
 本プログラムは、特定の専門分野の研究に偏りがちだと言われている博士人材を、実際のビジネスで必要とされる多様性や柔軟性、さらには高度のグローバル・コミュニケーション能力を持った、次世代リーダーに育てることを目指しています。カリキュラムでは、企業内で実際に行われているプロジェクト研究をモデルとしたProject Based Team Study (PBTS)を中心に置き、同時に、ビジネスや研究の現場を実際に体験するグローバル研修を積極的に実施しています。
 プログラムの実施に当たっては、プログラム担当者やアドバイザリーボードに、国内及び海外の企業・研究機関から多彩な人材を迎え、大学という枠を超えて取り組んでいます。産・学・官の各領域で、イノベーション創出の即戦力となれる博士人材を育成すると同時に、博士人材の社会への進出を促進させていきたいと考えています。

Project Based Team Study (PBTS)

 PBTSは、本プログラムの中核となっている教育手法で、企業内で実際に行われているプロジェクト研究をモデルにしています。学生は、自ら研究課題を提案し、主専攻ではそれぞれ異なる専門分野の研究を行っている他の学生とチーム(cross-functional team)を作り、学生達自身で企画・運営を行いながら英語で研究を実施します。この活動を通じ、プロジェクトを自らマネジメントする実践的な研究を経験します。
 なお、PBTSの活動拠点としてStudy Commons(外国人教員で構成)を設置するとともに、専任の教員や各専門分野の本学教員、産業界を含む学外の専門家が指導にあたり、各チームは競争しながら研究を進めていきます。研究は学内にとどまらず、他大学・学外の研究機関・企業などとの共同研究開発も視野に入れて実施しています。
 現在、8チームが活動していますが、民間企業に協力いただき産学が連携しての研究を行っているチーム、他大学の大学院生とともに研究を進めているチームなど各チームで工夫を凝らした研究を実施しています。
 
【活動中のチームの概要】(2019年8月1日現在)

Anti-Agingチーム(1期生)
健康寿命の延長と日本の伝統的な緑茶を日本のみならず世界にも発信することを目的として、抗酸化物質をより多く抽出できる新しいお茶の開発を目指しています。
Green Filteringチーム(2期生)
社会問題となっているPM2.5等の大気汚染への対策を提案するため、葉の表面構造を模した環境に優しいフィルターの開発を目指しています。
Science Educationチーム(3期生)
海外と比べて日本においてSTEM領域の出身の女性が少ないという課題を解決する為に、女子高生をターゲットにした高校生時代の進路選択に内容を特化したロールモデル記事集の開発を目指しています。
CO2 Reductionチーム(3期生)
環境問題の改善に向けた社会全体の取り組みの中でも、特に個人単位のCO2削減に注目し、活動を促すための推薦システムの開発を目指しています。
Water Recyclingチーム(4期生)
洗濯機からの中水(グレイウォーター)を灌漑用水として再利用することに着目した排水リサイクルの研究です。具体的な目的として (1)小規模で、使用者に親切で簡単、低コストリサイクルシステムの構築 (2)灌漑利用の前に浄化した中水の植物への影響を評価することです。
Traffic Jamチーム(4期生)
手動運転車と自動運転車が混在した交通状態で発生する渋滞の解消法を明らかにするための、シミュレーションモデルの開発を目指しています。
Dish Dry Cleaningチーム(5期生)
世界的な水不足に対応するべく、水の汚染の大きな原因である家庭排水のうち食器洗浄について、より少ない水でそして水を汚さずに洗浄する方法を開発しています。特に私たちは粉の油分吸着能力に着目し、粉を用いた食器洗いを提案しています。
Mental Healthチーム(5期生)
女性の社会進出とそれに伴う女性ならではの心身の不調は、現代社会の新たな問題となっています。そこで、女性の月経に起因するストレスをSNSを用いて社会的な要素を考慮しつつ、解析しています。最終的にはストレス予測などの応用を目指しています。

【2019年4月までに修了したPBTSテーマ】

Educationチーム(1期生)
高校生を対象としたプログラミングの授業を開発します。簡単なゲームを作成することで、多くの高校生が難しいと感じる数学的帰納法の理解向上を目指しています。
Synchronizationチーム(1期生)
皮膚繊維芽細胞とコラーゲンの相互作用のメカニズムを知るために、コラーゲン上における皮膚繊維芽細胞の集合パターン形成に影響を与える因子を探しています。
Water Treatmentチーム(1期生)
環境負荷の大きい排水中の油脂に着目し、食品工場における、既存排水処理方法の酵素を用いた改良を目指します。

グローバル研修

 視野を広め、社会の要求に対しどのように向き合っていくのかを具体的に体験し、自らの研究力を向上させることを目的として、国内外の大学、研究所、企業等での長期研修を実施しています。海外や民間企業を含む50以上の機関の協力を得て、履修生は複数回のインターンシップを経験します。
 グローバル研修には、博士前期課程で行われるグローバル研修Ⅰ(3カ月~6カ月)と博士後期課程で行われるグローバル研修Ⅱ(6カ月~12カ月)があり、どちらも企業・官公庁・研究機関等で長期インターンシップを行います。学生は、PBTSで行っている研究を更に推進するとともに、自らの専門分野も考慮して、研修先を各自で決定します。
 
【研修に協力いただいている機関一覧】(2019年10月10日現在)
 国内研修26件(民間企業12、研究機関7、大学5、官庁1、その他1)
 海外研修30件(民間企業1、研究機関7、大学20、その他2)

民間企業
富士通株式会社、株式会社東京設計事務所、東レ株式会社、株式会社ウェザーニューズ、新日鐵住金株式会社、株式会社リコー、株式会社Rhelixa、日産自動車株式会社、株式会社ファンケル、株式会社 J-ケミカル、シスメックス株式会社、アクサ損害保険株式会社、LANXESS GmbH(ドイツ)
研究機関
国立健康・栄養研究所、理化学研究所、産業技術総合研究所、医薬基盤・健康・栄養研究所、高エネルギー加速器研究機構、国立環境研究所、国立遺伝学研究所、Barcelona Supercomputing Center(スペイン)、Institute of Mathematics Polish Academy of Sciences, Banach Center(ポーランド)、Laboratory of Subatomic Physics & Cosmology, Grenoble(フランス)、National Institute for Public Health and the Environment (RIVM)(オランダ)、Etablissement Français du Sang(フランス)、German Research Center for Artificial Intelligence GmbH (DFKI)(ドイツ)、Swiss Federal Institute of Technology in Lausanne (EPFL)(スイス)
大学
東京大学、島根大学、大阪大学、名古屋大学、順天堂大学、梨花女子大学(韓国)、University of Oxford(イギリス)、New York University(アメリカ)、Virginia Polytechnic Institute and State University(アメリカ)、University of Technology Sydney(オーストラリア)、Strasbourg University(フランス)、Northeastern University(アメリカ)、University of California, Davis(アメリカ)、Technical University of Dresden(ドイツ)、Chalmers University of Technology(スウェーデン)、The University of Queensland(オーストラリア)、University of Copenhagen(デンマーク)、Humboldt University Berlin(ドイツ)、Harvard Medical School Brigham and Women’s Hospital(アメリカ)、University of Florida(アメリカ)、University of Wuppertal(ドイツ)、University of Louisville(アメリカ)、The University of Edinburgh(イギリス)、University of Oslo(ノルウェー)、LAL-IN2P3, Paris-Sud University(フランス)
官庁及びその他
文部科学省、お茶の水女子大学附属高等学校、ピラポ日本人会(パラグアイ)、南カリフォルニア日米協会(アメリカ)

その他の産学官連携活動

 企業や研究機関の方たちを招くなど協力して、キャリア開発のイベント、商品開発体験ワークショップなど、様々な企画を行っています。

開催日
2019.11.13 : 女性博士人材と企業の交流イベント-Work In Progress 2019 
2019.09.24 : 【博士人材のためのキャリア支援セミナー】思っているより活躍の場は広い ~女性博士のキャリアパス~
2018.11.12 : 女性博士人材と企業の交流イベント-Work In Progress 2018 
2018.09.28 : Nikkei Asian Review グローバルメディア・セミナー  
2018.06.15 : 2018年度 第1回キャリア支援セミナー 

企業・研究機関の方々へのお願い

 上記の通り、企業や研究機関の方々の協力を得て、産学官連携の下でプログラムを進めております。本プログラムにご関心のある企業や研究機関の方がいらっしゃいましたら、メールにてご連絡をお願いいたします。特に、「博士を目指す学生向け研究インターンシップの受入れを実施又は検討されている企業・研究機関」や「女性博士人材を積極的に採用している又は検討されている企業・研究機関」、「PBTSの研究に関心を持っていただいた企業・研究機関」の方々などとの交流を進めていければと考えております。
【連絡先】お茶の水女子大学リーディング大学院推進センター
     E-mail: