2016年度グローバル研修Ⅰ&Ⅱレポート

2016年度グローバル研修Ⅰレポート

北川 めぐみ

【研修先】
Institute of Mathematics Polish Academy of Sciences, Banach Center(ポーランド)

【研修期間】
2016年9月~11月

【研修報告】
 私は、ワルシャワで数学研究の拠点のひとつになっている通称IMPANに研修で訪れました。そこでの研修内容は、9月からの3ヶ月で実施された非可換幾何や量子群に関する研究集会と集中講義が組み合わさったプログラムに参加することです。4つの主題に沿った講義や講演が次々に予定されていて、プログラム全体では世界中から約200人の研究者が集まりました。
 その中で強く印象に残ったことは、9月中旬から1ヶ月間の集中講義に出席したことです。講義は3種類ありどれも興味深い内容だったので全て聞き、さらにそれぞれの講義の進度に合わせて更新される演習問題に取り組んだり、オフィスアワーに質問しに行き他の参加者と話し合ったりしました。それらの活動が、すでに知っていた基礎知識の強化だけでなく新たな知識の習得にも大変役立ちました。このように、今回の研修中で特に多くの学びを得た期間となり、とても充実した日々を過ごすことができたと思います。
 また週末を利用して旧市街や博物館に行ったり、季節のイベントやホームパーティに参加したりもしましたが、初めての体験ばかりで土地柄をたくさん味わえました。ポーランド語はほんの少しの挨拶しか覚えられませんでしたが、ワルシャワでの3ヶ月間で得た経験は忘れません。

北川 めぐみ(理学専攻 数学コース M2)
PBTS所属チーム:TCDD (Environment)

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Conference “Cyclic Homology” in Warsaw

Before School

Master Class in Bedlewo

Duong Thi Thu Ha

【研修先】
Barcelona Supercomputing Center(スペイン)

【研修期間】
2016年9月~11月

【研修報告】
    I had an opportunity to spend 3 months in Barcelona Supercomputing Center where is a public research center located in Barcelona, Catalonia, Spain. It was ranked 93rd in the world. That is one of the biggest supercomputing centers in Europe where are attracted more than 350 people from 40 different countries. It is an international environment for studying and accumulating data and sciences. I participated as a member of protein-protein interaction research group.
    PBTS I topics was an interesting topic, we wanted to develop a portable device for detecting of 2,3,7,8-tetrachlorinated dibenzo-p-dioxin (TCDD). It is one of the most toxic forms of hazardous toxic, ubiquitous and persistent chemical compounds that were called dioxin family. To reach that goal and contribute to the PBTS team project, I needed the necessary knowledge to be able to make more accurate predictions of molecule complexes of biological. That knowledge would give me the key to understand TCDD-oligopeptide interaction. These skills are necessary to contribute to the design and optimization of oligopeptide sequences to detect and quantify the concentration of TCCD in samples.
Global internship I gave me lots of good things, much more than I expected. That was one of the best opportunities for me to accumulate a solid knowledge for my study. It is one of the first steps for my scientific relationship network and starting point for my scientist’s life.

Duong Thi Thu Ha(ライフサイエンス専攻 生命科学コース M2)
PBTS所属チーム:TCDD (Environment)

中山 萌絵香

【研修先】
LANXESS Deutshland GmbH(ドイツ)

【研修期間】
2016年9月~12月

【研修報告】
 私はドイツの化学メーカーLANXESS GmbHのBusiness Unit Leatherで3ヶ月のインターンシップを行いました。PBTSではダイオキシンの検出装置の開発を行っています。化学物質による 環境汚染について企業での取り組みを学ぶため、HSEQ (Health, Safety, Environment, and Quality)という部署に所属し、なめし剤のパイロットプラントで廃液の採取や分析、完成した革を用いての試験を通して、環境や消費者の健康に対する影響などについて調査しました。また、EUの化学物質関連規則を学び、企業における環境保全や安全管理の取り組みを知ることができたと同時に、環境汚染のリスク評価の重要性についても再確認し、これからのPBTSに生かすことができると感じました。
 また、実際に海外の企業で働くという経験を通して、労働時間や労働環境の日本との考え方の違い、ビジネスにおける使用言語など考えさせられることが多くありました。
 ドイツでは大学在学中や卒業後にインターンシップを行ってから入社することが一般的のようで、会社の中でも同年代の学生や、博士や修士など学位を持った社員の方々、また休日はボスのご家族のみなさんなど、様々な年代の方と話す機会に恵まれた研修でした。3ヶ月という短い期間でしたが、ドイツの夏から冬にかけての景色、食べ物はとても豊かで、充実した時間を過ごすことができたと感じています。

中山 萌絵香(理学専攻 化学・生物化学コース M2)
PBTS所属チーム:TCDD

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Business Unit Leatherのオフィス

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社員の方々とJapanese Gardenにて

高橋 美郷

【研修先】
東京大学(日本)

【研修期間】
2016年12月~2017年4月

【研修報告】
 東京大学工学系研究科石坂研究室で3ヶ月間の研修を行いました。石坂研究室では主に光電子分光を用いて固体物性の研究を行っています。光電子分光とは、光電効果により放出される電子を直接分析することにより、物質中の電子のエネルギー、運動量、スピン、波動関数などの情報を直接得られる手法です。今回の研修では光電子個体物性の基礎から学び、実験では特に、角度分解光電子分光を用いて金属試料の電子物性を研究しました。自分の専門とは異なる分野の最先端機器を使っての研究は大変貴重な経験で、視野も知識の幅も広がりました。実験では他にも光電子分光の励起光に用いる放電管とレーザー光源や電子線回折についても装置の原理や仕組みを学びました。
 PBTSでは、現在は、ダイオキシン類の構造や電子密度などの物理化学的性質を計算化学の手法を用いて研究しています。今回の研修で得た知識を今後のPBTSでの活動に活かしたいと思います。
 研修中は研究室のメンバーと実験を行ったり議論をしたりと刺激的な日々を送りました。今回、研修を受け入れてくださった石坂先生、温かく指導してくださった石坂研究室の皆様、研修のためにご尽力くださった指導教員やリーディング推進センターの皆様に心より感謝申し上げます。

高橋 美郷(理学専攻 物理科学コース M2)
PBTS所属チーム:TCDD (Environment)

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研究室のメンバーとの集合写真

2016年度グローバル研修Ⅱレポート

西田 かおり

【研修先】
株式会社東京設計事務所(日本)

【研修期間】
2016年8月~2017年3月

【研修報告】
 2016年度8月から7ヶ月間、株式会社東京設計事務所にてインターンシップをさせて頂きました。インターンシップでは、複数プロジェクトの業務補助や、水需要実績を基にした解析・研究をさせて頂きました。また、稼働中プラントの見学や水道・水環境関連の学会への参加の機会も頂きました。新たな解析方法の習得ができただけでなく、実際に水道の業務に携わっていらっしゃる方々の視点はこれまでの研究における自身の視点とは異なることも多く、自身の視野を大きく広げることができました。また、社会が水環境分野に期待していることを知り、考えるきっかけとなりました。
 PBTSでは油脂分を含んだ排水の処理システム改善をテーマに研究をしており、システム改善への社会ニーズの把握および実験結果の解析を主に担当しています。今回のインターンシップで習得した解析方法や新たな視点は、今後の研究で必ず活きるものと感じています。また、社会の水環境分野への期待を知ることで、PBTS研究の社会における立ち位置や重要性を改めて考え、今後の研究方針を見直すことができました。
 今回のインターンシップは非常に貴重な経験となりました。いつも温かく丁寧なご指導をして下さった研修先の皆様に、深く感謝申し上げます。

西田 かおり(生活工学共同専攻 D1)
PBTS所属チーム:Water Purification

橋本 恵

【研修先】
理化学研究所 多細胞システム形成研究センター(日本)

【研修期間】
2016年8月~2017年2月

【研修報告】
 神戸市のポートアイランドにある理化学研究所 多細胞システム形成研究センターにて、藤原裕展チームリーダーのもとで『ライブイメージングを用いたマウス毛包発生における基底膜動態の可視化』に半年間取り組みました。この取り組みにより、毛包基底膜分子ラミニンのライブイメージングに成功しました。
 PBTSⅡにおいて、培養皮膚線維芽細胞のライブイメージング動画から、線維芽細胞集団パターン形成のメカニズムを探っていますが、研修で得た知識・技術はPBTS研究に応用していきたいと思います。
 今回、初めて大学以外の研究機関に身を置き研究をしました。研究設備が整っており、半年間集中して勉学に励むことができました。また、公用語が英語なので、ミーティングの多くは英語で行い、英語プレゼンテーションの特訓ができました。
 研修中にお世話になりました細胞外環境研究チームの皆様には心より感謝します。これからも、新たな知見や技術を世に提示できるような研究をしていきたいと強く思いました。

橋本 恵(ライフサイエンス専攻 生命科学領域 D2)
PBTS所属チーム:Synchronization

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細胞外環境研究チームの皆様と

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研究風景

叢 悠悠

【研修先】
College of Computer and Information Science, Northeastern University(アメリカ)

【研修期間】
2016年9月~12月

【研修報告】
 私はノースイースタン大学を訪問し、学部生向けのプログラミングの授業に参加しました。この授業は、単にプログラムの書き方を学ぶのではなく、与えられた問題をどのように解くか、というより一般的なスキルを身につけることを目標としています。そのために導入されているのが「デザインレシピ」です。デザインレシピとは、文字通りプログラムをデザインするためのレシピのことです。プログラムの挙動に直接関係のないステップも含まれるため、これに従うのは遠回りなのではないか、と思ってしまう学生もいましたが、授業中の発言や試験の解答などから、デザインレシピに従った学生ほど出来が良く、レシピを無視した学生はしばしば答えにたどり着けない、ということが分かりました。このデザインレシピは、ノースイースタン大学の先生が自身の経験に基づいて編み出したものであり、お茶大のとある授業にも導入されていますが、一学期の観察を通して、レシピに従うと問題がシンプルになる、というのを改めて実感しました。
 ノースイースタン大学の計算機科学科はとてもアクティブで、研究室では学生同士の教え合いや、教授とのディスカッションが盛んに行われていました。お昼休みの時間もテクニカルな議論が絶えず、皆研究を楽しんでいるのが伝わってきました。また、自分の専門分野ではない話でも、興味を持って議論に加わる人が多く、知識と関心の幅が広いなという印象を受けました。

叢 悠悠(理学専攻 情報科学領域 D1)
PBTS所属チーム:Education

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計算機・情報科学科

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Prof. Felleisenと研究室にて

水戸 晶子

【研修先】
文部科学省高等教育局大学振興課(日本)

【研修期間】
2016年10月~12月

【研修報告】
 私は10月から3ヶ月間、長期文部科学省インターンシップに参加しました。これは、文部科学省が実施している公式なインターンシップで、研修先の課室や期間は異なりますが、私を含めて39名の学生が参加しました。私は高等教育局大学振興課において、大学教育の質の向上に関する事例の調査・分析、大学院教育関連のデータの収集を行いました。これらの業務では、大学院の研究で培った資料検索や数値解析のスキルを活かして、今後の政策立案に重要な資料の作成に貢献できたと思っています。
 PBTSではプログラミング教育開発に取り組んでおり、研修中には、先進的なアクティブ・ラーニングを実施している大学を視察し、教員と意見交換を行いました。また、学修成果の直接評価に関するシンポジウムに参加し、テスト開発についてのお話をうかがいました。これらの活動を通して、今後の授業設計に役立つ知見を得ることができました。
 また、行政機関の業務に長期間携わったことで、国の政策決定過程や行政官に必要とされることなど、自分の将来を考える上で重要なことを学びました。様々な立場の意見を汲み取り、施策に反映していくことは非常に難しいですが、多様な視点を持った課題解決への取り組みは、PBTSでも求められることなので、副専攻の活動を通してこのような力を高めていきたいと思います。

水戸 晶子(理学専攻 化学・生物化学領域 D2)
PBTS所属チーム:Education

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旧文部省庁舎前にて

川口 奈奈美

【研修先】
東レ株式会社 医薬研究所(日本)

【研修期間】
2016年11月~2017年1月

【研修報告】
 11月から1月までの3ヶ月間、東レ株式会社医薬研究所で研究インターンシップを行いました。企業に毎日通うのは初めての経験でしたが、自然に囲まれた立地がすぐに気に入り、社内でも大変居心地の良い雰囲気で実習させていただきました。
 実習では「計算科学及び構造生物を活用した医薬分子設計」をテーマに、計算と実験の2つのアプローチで研究を進めました。計算科学はこれまでの経験が浅かったため少し苦労しましたが、基本的なことから丁寧に教えていただき、質問にもすぐに対応してもらえたおかげで何とか結果をまとめることができました。実験は大学院で経験のある手法が殆どでしたが、普段行っている実験手法が医薬品開発にどのように役立てられているかを知ったり、今まであまり気にしていなかった注意点に気付けたりと得られたものは大きかったです。実習を通して、コストや安全管理、結果に対する企業特有の考え方も少しは理解できたと思います。また、2つの部署に参加したことで、企業において部署間が連携してプロジェクトを進める様子を知ることができました。研究以外にも会議や研究発表会などに参加する機会があり、特に、女性の若手研究者が興味深い研究成果を発表している姿に刺激を受けました。
 今回企業での研究を体験できたことで、将来の進路をより具体的に考えるヒントを得られたと思います。同時に、大学でしかできないこと、大学の役割についても考えるきっかけとなりました。

川口 奈奈美(理学専攻 化学・生物化学領域 D1)
PBTS所属チーム:Water Purification

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東レ(株)基礎研究所の入り口

山下 公子

【研修先】
Laboratory of Subatomic Physics & Cosmology, Grenoble(フランス)

【研修期間】
2016年11月~2017年5月

【研修報告】
 フランスの南東部に位置するグルノーブルに6か月間滞在しました。山に囲まれた街で、穏やかな雰囲気だったと思います。研修先は、Laboratory of Subatomic Physics & Cosmology (LPSC Grenoble)という研究所にある理論物理のグループです。ホストの馬渡健太郎博士、Sabine Kraml博士、それからKraml博士の学生であるUrsula Laaさんとの4人で共同研究をしました。暗黒物質を説明するモデルへの実験に基づいた解釈をし、論文にまとめ、”Simplified dark matter models with a spin-2 mediator at the LHC”というタイトルで、雑誌より刊行されました。この研究では、研究手法としてシミュレーションやシェルスクリプト等のプログラムを使いました。この経験は本リーディングプログラムで行っている学際的プロジェクトPBTS(Project Based Team Study)にも役立ちました。私の所属しているPBTSチーム、Synchronizationチームに置いて、私は対象となる数理生物モデルの改良・シミュレーションを主に担当しているためです。
 研修先へは、トラム(路面電車)に乗って通っていました。トラムに乗っていても気付きましたが、高等教育機関・研究機関が多い街です。フーリエ解析で有名なフランスの物理学者、数学者であるジョセフ・フーリエは、グルノーブルで知事を務めたことがあります。そのグルノーブルに赴任していた時期、フーリエは実りのある研究活動をしていたようです。グルノーブルには、学問に集中出来る環境があるのかもしれません。

山下 公子(理学専攻 物理科学領域 D2)
PBTS所属チーム:Synchronization

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このメンバーで共同研究・論文投稿しました

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グルノーブルには、シャボン玉の形をしたロ−プウェイがあります。下を見るとイゼール川が広がっています。

榎吉 奏子

【研修先】
株式会社ウェザーニューズ(日本)

【研修期間】
2017年1月~2017年4月

【研修報告】
 海浜幕張に本社を置く株式会社ウェザーニューズにおいて、グローバル研修Ⅱの前半3か月間の研修を行いました。PBTSⅡをよりよく遂行するために、データ解析スキルを身につけることが主な目的です。
 ウェザーニューズは「船乗りの命を守りたい」という創業者の思いを根底とし、天気の情報を元に幅広いサービスを提供する気象情報会社です。サービスの例としては、船会社に対してコスト最小で安全運行可能な航路を提案することや、天気と商品の売れ行きとの相関に基づき、コンビニエンスストアに対して適切な仕入れ量を提案することなどが挙げられます。こうしたサービスを提供するために、調査やデータの分析業務を行う部署がR-Cornerです。研修期間中、私はR-Cornerのチームメンバーの一員として、主に4つの業務に携わりました。特徴的な災害事例写真の抽出、空港の作業用道路における無降水路面凍結調査、突風・竜巻事例調査、そして降雪短時間予報の精度検証です。気象データは日々蓄積されており、多いものは5秒ごとに観測されています。そのようなビックデータから傾向を見出せるような解析を行うためには、プログラミング能力はもちろんのこと、地域やその箇所の気象特性についての知識も必要だと分かりました。お客様のことを常に念頭に置いて、気象の知識を身につけながら業務を遂行する大変さや嬉しさを実感でき、貴重な経験を積めたと感じています。

榎吉 奏子(理学専攻 数学領域 D1)
PBTS所属チーム:Synchronization

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解析結果の発表会